ギックリ陳情
2017年 06月 07日
ぼくの職場には、腰痛持ちはたくさんいても、
ギックリ腰経験者があまりいません。
なので、人に理解されないもどかしさがあります。
大体が、
「ギックリって、腰痛のひどいバージョンでしょ」
くらいの認識だと思いますが、まったくの別物です。
腰痛が、万力でギリギリしめつけられるような痛みだとすれば、
ギックリは、アイスピックでメッタ刺しにされるような痛みです。
みなさんの家族の中からギックリ腰の人が出たときは、
どうかそっと見守ってあげてください。
シップ貼ってGO!とかそういうレベルではなく、
「歩く、這う以前に、寝返りすらうてない」
ということを理解してほしいと思います。
彼らはまるで無能者のように布団で横になっていますが、
仮病をつかっているわけでも、
当てつけで痛みをうったえているわけでもなく、
あまりの激痛に動けないだけです。そして、
ほんのわずかな動きで、腰に「ビキーッ!」と電流が走り、
おもわず叫んでしまうわけです。
ハナをかみたくともティッシュ箱が手の届かない所にあり、
あきらめて垂れ流すにまかす。
ほふく前進で移動している途中でズボンもパンツもぬげ、
はき直す事すらできずにやむなく、
下半身露出させたまま廊下で途方にくれる。
(本当によくある!)
そんな病人にムチ打つように、
「自己管理が足りない!」と、
必要以上に責めないであげてください。
なぜなら、
もっとも自己嫌悪と無力感にさいなまれているのは、
おそらく本人たちでしょうから。
「よりによってこんな忙しいときに…」
とか、
「オレってなんてダメなんだ…」
とか、布団の中で、
それこそ何十回も、何百回も、
グルグルグルグル自問自答するわけです。
そういう時に散歩したり、人に会ったりすれば、
気分転換もできるのでしょうが、
横を向くのもままならず、
何日もただひたすら天井を見つめるしかないとき、
人は時に、自分を追い込んでしまうものです。
もういっそのこと、
「しょうがないじゃん、動けないんだし!」
と開きなおれば、少しはラクなのかもしれませんが、
それも、職場の上司や家族の理解あってのものです。
家でゆっくり療養できていますが、
それでも介助派遣という仕事柄、職場では、
「腰が痛いなら筋肉注射打って出勤するのもアリだよ」
というアドバイスを普通にされます。そのたびに、
「ああ、この業界は自分には向いていないかもな」
と思います。
実際、もっと体がタフな人がやるべき仕事なんだと思います。
前もって連絡しろと言われても、いつ発症するかなんて予想できない。
動けるならすぐにでも動きまわりたい、人間だもの。
なってしまった以上はしょうがない!
ただ安静あるのみ。