太郎さんという徒花に

d0108041_02264587.jpeg

闇夜に叫ぶがごとく、おなじ告知をねじ込みます。

岡本太郎記念館にて、
三宅感の壁画第2弾「わたしの野花たち」開催中です。
この作品は勝負しました。


前回作った大壁画「青空があるでしょう」は、
審査員表も観客表も満場一致、
ダントツのトップでえらばれました。
d0108041_02270885.jpeg
d0108041_02272992.jpeg

多くの方に絶賛していただき、
あたたかいメールもたくさんいただき、
見知らぬ若者に「ありがとう!」と握手され、
手を合わせて拝んでいるおばあちゃんもいました。

もちろんその陰では批判もあり、
Twitter、ウェブ、ミニ手紙などで、

「自意識過剰の極み」

「目立ったもん勝ちのハリボテ」

「内面たれ流しおっさん」

「アイデンティティ中毒」

と叩かれたりもしました。
頭に来ますが、だいたい合ってます。
というか全問正解です、チクショー!


そして美術館展示終了後。

今度は表参道にある岡本太郎記念館にて、
新作を発表する権利を与えられました。
d0108041_12194257.jpg
その時ぼくはなぜか、

「次は、前作を褒めてくれた人も離れていくような作品にしなきゃ」

と、ナゾのアマノジャクに捕われました。
それはおそらく、

展示を機に知り合った人達とやりとりする中で、
なぜか「ヒューマニズムあふれる作家」として、
期待されているような言葉をいただき、うれしい反面、
じつはただのエゴイストである自分は所在なく、

「エヘヘ…」

と狼狽していたからです。
そしてやはり、岡本太郎の著作を読み漁ったのが大きい。
d0108041_12133804.jpg
太郎さんは僕からすれば、
毒親のダブルバインドによって生涯引き裂かれ続けた、
一人のアダルト・チルドレンだったと思います。


父親は大衆作家の見栄で飲み歩いて帰らず、
母親は執筆活動のジャマだからと太郎をタンスにしばりつけ、
若い男の書生を家に住まわせる始末。


「自分の作風に安住してはいけない」


という太郎さんの言葉は、
「いけない」というより「できない」に近い。


安住はおろか、心の安全基地すら持たない太郎少年は、
全員が敵に見えるような日本という世界に対し、
ブルブルと裸一貫でぶつかっていったわけです。
d0108041_13592311.jpg
幼児的万能感といわれようと、
誇大妄想狂といわれようと、
社会的自殺といわれようと、

「そうだよ!」

と笑いながら、スケールのでかいデタラメをうちだす。
美術評論家や親しい友人にまで冷笑されながら、堂々と、
太陽の塔などとワケのわからぬ巨大アンチテーゼを打ち建てる。
d0108041_13593759.jpg
人一倍の臆病さゆえに、
あれだけ「違和感」のある大輪の徒花を咲かせた太郎さんは、
悲しくて、うつくしい人だなあ、と思います。


こういったシロウト分析もまぜて、僕は、

「岡本太郎という吐き気(原題)」

と題して、頼まれもしない8000文字のレポートを書き、
大画用紙いっぱいに描いた細密デッサンとともに、
岡本太郎記念館に出向いてプレゼンし、
その日のうちにGOサインをいただきました。
d0108041_12294771.jpg
あらかじめ、

「岡本太郎と対峙する作品」

というテーマが与えられているため、
生半可な表現ではマズイと思い、
コンセプトもガッチリ固めていきました。
d0108041_02280085.jpeg

そして表現方法に関しては、
前作で喜ばれた「生命力あふれるカラフルな色彩」を封印し、
今作では「生活臭ただよう混濁色」のみを使って描きました。

前作ではわかりやすくテーマ別にクッキリわけた人物や風景も、
今作では、成形と着色も終えた彫刻をバキバキに壊して、
iPadで画像を撮影して、パーツを再構成して、
人、動物、植物、人工物、風景が溶けあうような形にしました。
d0108041_12122680.jpg
そんな作業なもんだから、終わらない。終わらない。


「これ、期限までに完成しないんじゃないか?」


というプレッシャーのなか、
ただの露悪趣味におちいらぬよう、
配置のセンスだけは充分に!注意しつつ。

そんなことやってる時にも、ふいに、


「三宅さんの愛情あふれるやさしい作風に癒やされました」

「色彩もモチーフもパワーにあふれ、元気をもらいました」


と、前作でいただいた感想が頭をよぎると、
彼らが今回の作品を見て、

「ゲ、何だこれ…」

と帰っていく姿を想像して手が止まり、

「イヤイヤ!!だからこそ作るんだろ!」

とあわてて己を鼓舞して持ちなおす。
d0108041_02282043.jpeg

そんな一人サル芝居を終えて深夜に帰宅すると、
すっかり寝静まっている幼い息子の横で、

「将来の生活不安」

を訴えて、奥さんが泣きはじめる。

200パーセント正しい奥さんの涙を尻目に、
非正規雇用で就職経験なしの34歳男が、
紙粘土でホームレスや雑草を作るという、火宅風景。
d0108041_02284142.jpeg

みなさん、ぜひ見に来てください。
この作品に、伝えたい事はすべて注入しました。

僕はいつでもすっ裸で立っていますから、
どうぞお気軽にお越しください!


と、決めゼリフで終わろうとしたのですが、
展示2日目に、美術史家・評論家の山下裕二先生がご来館されて、
「わたしの野花たち」にたいする激励の言葉をかけてくれた後、
おもむろに携帯を取りだして、

「あ、もしもし?この作品すばらしいよ。会期延長にしてね」

と、どこかに電話をかけて、その場で1週間会期延長となりました。

岡本太郎記念館の特別展示としても異例の待遇に、
うれしさを通りこして、なんだか信じられず、
さっきまで、

「見に来た人全員にツバをかけてやる!」

くらいガクガク気張っていたのに、
急にうしろから足カックンされたような、
ふいに肩をポンポンと叩かれたような気持ちになりました。
d0108041_02290589.jpeg

というわけで、
岡本太郎記念館特別展示「わたしの野花たち」
会期延長です!
岡本太郎が撮影した東北の写真展「岡本太郎と東北」と合わせて、
ぜひご覧ください!よろしくお願いします。


7月1日(土)〜7月24日(月)
場所 岡本太郎記念館
時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
火曜定休(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28~1/4)
*画像(一番下)提供:©︎岡本太郎記念館


by kan328328 | 2017-07-05 12:47 | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


by kan miyake
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31