両手にカオス
2016年 01月 22日

友人たちに協力してもらったおかげで、無事に作品の積み込み、搬入を終える事ができた。
いよいよ明日、岡本太郎美術館で壁画の設営だ。
自分の作品準備に追われる、喜ばしい日々よ。
設営準備の合間をぬいつつ、表参道にある岡本太郎記念館に行ってきた。
もし岡本太郎現代芸術賞のグランプリに選ばれれば、ここで個展が開ける。
すっかり自分が選ばれたつもりになって、次回作の構想を練りつつ会場視察というわけだ。
とらぬ狸のなんたらと言うけど、別にいいじゃないか。
この夢の時間が過ぎればまた、アトリエにこもって黙々と制作する日々に戻るのだから。
わとくんが眠る布団を出て、始発の電車に乗り30分、自転車で30分。冬は寒さに凍え、夏は暑さに悶えた、あのアトリエだ。
制作中、いつも気づくと、宇宙を超越するようなイメージを思い描いている。
現実でも火星移住化計画が進んでいるようだが、ああいう選民思想的なやつじゃなくて、自分みたいな落ちこぼれもしっかりすくい取ってくれる、ひとり大乗仏教のようなイメージだ。
聖も俗もない、人も、虫も、花も、マヤのピラミッドも、使い捨てテンガも、ヤマザキ春のパン祭り応募シールも一枚のこらず全部、両手いっぱいに抱きしめて、飛び出すのだ。
足下はアスファルトの上、頭ははるか銀河のかなた。両手にカオス。
そんな突き抜けた作品を作りたい。
というのは本心ではあるが、キレイゴトでもある。
つい先日も、人をふるいにかけるようなマネをしたばかりだ。
壁画が入選した当初、この大がかりな作品の搬入、設営を誰に依頼するかという段階になって、かなり悩んだ。
自分のiPhone4を前に、頭を抱えた。
こんな七面倒くさい事を頼んでしまっては、ただでさえ少ない友達を、さらに失いかねないと思ったからだ。
結果、自分にとって本当に大切な友達にだけ依頼することにした。
約3年に及ぶ制作期間中、交友関係などは皆無だったので、
「こんな突然連絡して、断られたらどうしよう…」とデリケートなハートを震わせつつ、「えいやっ!」とばかりに依頼メールを送信した。
依頼した友人たちは全員、二つ返事で引き受けてくれた。
友達って大事だ、と痛感した。本当に、心から。
明日の設営がんばります。
by kan328328
| 2016-01-22 04:48
| アート