今のかがやきと爪の一撃
2017年 01月 18日
昨夜のことである。粘土あそびをしている息子をながめながら、ふと、
「そうだ、俺は今この瞬間をカタチにしたいのだ。過去でも未来でもなく「今」を作りたいのだ。目の前でかがやいている「今」この瞬間、瞬間を切りとり、その積み重なりで、どこまでも高く、どこまでも大きく、グングンと広がっていくような作品を作りたいのだ。」
という実感がグワーッとわいてきた。ふるえるくらい胸が高鳴り、その詩が消えてなくならないうちに、いそいで紙とボールペンを手に構想を練っていると、
「キエーーーーー!!!」
という絶叫が響きわたった。隣の部屋に行ってみると、奥さんが七転八倒している。かけよって話をきいてみると、どうやら、「布団をしこうとして枕をつかんだら、中指の爪の先がペコッと裏返った」らしい。
あーわかるわかる、たまになるよねソレ。風呂上がりとかツメがやわらかい時は特にね。その痛みってたいてい、ツメが裏返った痛みそのものより、「ツメが裏返った」というエグい事実に対するショックだよね。
と話しかけるが、悶絶は止まらない。
「そのホラーな感触って、なぜか何度も思い出しては痛みをリピートしちゃうよね。でも今はもうそんなに痛くないはずだし、大切なのは今だから。今でしょ!」
と林修先生の物マネをはさむもピクとも笑わず、うずくまっている奥さん。なんかもう、リクツうんぬんではないらしい。息子もその様子を恐る恐るのぞきつつ、「どうした…?どうした…?」と母に問いかける。とりあえず痛みが落ちつくのを待ってから、自分の部屋に戻る俺。
「えーと何してたっけ?ああ構想か。そうだ…日常のかがやきが、えーと」
と思い出そうとするも、ツメ反転事件のインパクトがでかすぎて、さっきまでの感動はわりとキレイにふっとんでいた。いやービックリした。
空からおりてきたタンポポの綿毛を、そっと手のひらで包もうとしたら、テキサスハリケーンに巻き込まれてぶっ飛ばされた感じといおうか。これぞ日常。
とにかく、大切なのは「今」だ。過去なんてもういいのさ。というか動揺して忘れたぜ!さっきのあのインスピレーションよ、いつかまたどこかで会おう!
美術作家・三宅感のブログです
by kan miyake
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