今のかがやきと爪の一撃

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昨夜のことである。
粘土あそびをしている息子をながめながら、ふと、


「そうだ、俺は今この瞬間をカタチにしたいのだ。
過去でも未来でもなく「今」を作りたいのだ。
目の前でかがやいている「今」この瞬間、瞬間を切りとり、
その積み重なりで、どこまでも高く、どこまでも大きく、
グングンと広がっていくような作品を作りたいのだ。」


という実感がグワーッとわいてきた。
ふるえるくらい胸が高鳴り、その詩が消えてなくならないうちに、
いそいで紙とボールペンを手に構想を練っていると、

「キエーーーーー!!!」

という絶叫が響きわたった。
隣の部屋に行ってみると、奥さんが七転八倒している。
かけよって話をきいてみると、どうやら、
「布団をしこうとして枕をつかんだら、中指の爪の先がペコッと裏返った」らしい。

あーわかるわかる、たまになるよねソレ。
風呂上がりとかツメがやわらかい時は特にね。
その痛みってたいてい、ツメが裏返った痛みそのものより、
「ツメが裏返った」というエグい事実に対するショックだよね。

と話しかけるが、悶絶は止まらない。

「そのホラーな感触って、なぜか何度も思い出しては痛みをリピートしちゃうよね。でも今はもうそんなに痛くないはずだし、大切なのは今だから。今でしょ!」

と林修先生の物マネをはさむもピクとも笑わず、うずくまっている奥さん。
なんかもう、リクツうんぬんではないらしい。
息子もその様子を恐る恐るのぞきつつ、
「どうした…?どうした…?」
と母に問いかける。
とりあえず痛みが落ちつくのを待ってから、自分の部屋に戻る俺。

「えーと何してたっけ?ああ構想か。そうだ…日常のかがやきが、えーと」

と思い出そうとするも、ツメ反転事件のインパクトがでかすぎて、
さっきまでの感動はわりとキレイにふっとんでいた。
いやービックリした。


空からおりてきたタンポポの綿毛を、そっと手のひらで包もうとしたら、
テキサスハリケーンに巻き込まれてぶっ飛ばされた感じといおうか。
これぞ日常。

とにかく、大切なのは「今」だ。
過去なんてもういいのさ。というか動揺して忘れたぜ!
さっきのあのインスピレーションよ、いつかまたどこかで会おう!


by kan328328 | 2017-01-18 07:05 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


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