俺のピンク

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年をとるごとに、ピンク色が好きになる。


イチゴパフェ、
ゼラニウムの花、
街ゆくピンクのスニーカー、
オリジン弁当の看板、
cancamのロゴ、
ピンクのヘアカラー、
PASMO…

やたらとピンクばかり気になるのは、
どういう心境の変化だろう。

昔はキライな色だったのだ。
「甘えた色、こびた色、ブリっ子の色」
という先入観があり、

「ピンクなんて、女がしがみつくメルヘンの象徴だろ」

くらいに思っていた。
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でもこの歳になって、ようやく気がついた。

ピンクは、かわいい。

ピンクは、気分をフレッシュにしてくれる。

ピンクは、ちょっと毒っぽい。かつフェイクっぽい。

ベージュや若草色のように調和せず、
ピンクはどこか「過剰」である。
花でもピンクとなると、虫を呼びよせるために、
必死でハッタリをかましてるようにも見える。

生きとし生けるものすべてを、誘惑する色なのだ。

たしかに、
赤がキョーレツに「血液」を想起させる色だとすれば、
そこにほんのり白いフィルターをかけたピンクは、
若々しい肌を連想させたりもする。


と、ここまで書いてきて、

「こんなにピンクがグッとくるのは、疲れているからか?」

と思い当たった。
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もし、もし自分が全身ピンクの服をまとい始めたら、
家族や友人は、何ていうだろう?
おそらくみんな、

「…さいきん、疲れてる?」

と聞いてくるだろう。
本人は刺激的なイメージチェンジのつもりが、
知人には悲劇的に見られるという皮肉。


34歳中年男性がピンク色を着こなすには、
数々の困難が待ちうけている。


周囲に何の告知もしない全身ピンクは、たしかにまずい。
「オイそこの明太子」とか呼ばれて、
社会的にも追いつめられていくはずである。

やはりペンやスマホケースといった小物から始めて、
毎日少しずつピンクの占める割合をふやしていくのが、
妥当かと思われる。

ますます自分がどこを目指しているのか、わからない。
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ピンクはゲイカルチャー、ドラッグカルチャーでも多用されている。

映画でいえば、
「ピンク・フラミンゴ」
(女装男が犬のウンコを食べる映画)
「ピンク・ナルシス」
(青年が尻を出してシコシコする映画)

音楽でいえば、
ピンク・フロイド、
ピンク・フェアリーズ、
ピーター・アイヴァース・ビタミン・ピンク。
トゥインクの「Think Pink」、
ニック・ドレイクの「Pink Moon」
ヘンリー・スレッギルの「Tickled Pink」。

どれも現実から浮いて、ドリーミーかつ毒のある作品ばかりである。
ピンクという色の持つある種、麻薬的な作用が、
人の気分をグラマラスに覚醒させるらしい。


そういえば昔、「ブロークン・フラワーズ」という映画があった。

「じつは、あなたには19歳になる子供がいるの」

という、差出人不明のピンク色の手紙をたよりに、さえない中年男が、
全米にちらばった元カノたちをたずね歩くという映画だ。

劇中ではピンク色のアイテムが、絶えず男の視界を横切る。
そのたびに「手紙を送ってきたのはこの女かもしれない」と、
翻弄される男の姿はなんとも情けなく、セクシーである。


日常から非現実の高みへといざなうピンクの魔力は、
年齢を意識しだした中年男性にこそ、効力があるのかもしれない。

by kan328328 | 2017-05-09 18:17 | アート | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


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