アハーンの詩

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岡本太郎賞の恩恵も終わり、
ふたたびいつもの生活者に。


今後はどうしていこうか。


先行き不透明、
頭はマッコリのようにまっ白だ。


いっそ就活しようか。
就活を・・・


履歴書に、

「34歳、妻子あり。就職経験なし。
でかくてグロい壁画は何個でも作れますが、
仕事は何をやってもうまくできません。
たまに夜中に起きてポエム書いてます」


って書くのだろうか。
キッツいな・・・



今回展示をするにあたり、
企画、プレゼン、制作、告知、搬入、設営、搬出と、
一連の流れをすべて自分なりに試行錯誤できたのは、
すばらしい経験でした。
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そして、かげで支えてくれた家族、友人、
ながらく連絡の途絶えていた旧友、
初見であたたかい言葉をくれた人たちとの出会い。


気持ちとしては、彼ら一人一人を呼んで、
銀座の叙々苑で焼肉をごちそうしたい。
七輪に上カルビをズラッと並べたい。

でも、それはできない。

今のわが家の経済状態は、
カルビはおろか、カルビーすら買い渋っている。
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だからせめて、
感謝の気持ちだけでもサンチュにくるんで、
皆の心にとどけたい。


仕事から帰ってきた奥さんに、

「これからも一人で制作を続けていくことを思い、
ふと、不安になった」


と話したら、


「いつだって、一人で作り続けてきたじゃん。
もう少しがんばってみなよ。」

とのこと。


そうだった。
そういえば、この寄る辺ない感じは、
なんともなじみがある。

もうちょっと色々やってみよう、と思った。
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無性に詩が読みたくなった。


最近は、西脇順三郎や吉岡実などの、
わりと凝った詩を読んでいたが、

古本の詩集をひっぱり出して、
ふたたび読みはじめた。


立原道造の詩は美しい。


中原中也の詩となるともう、
どこまで影響をうけたのか判然としないくらい、
全身にくまなくしみ込んでいる。


ヘルダーリンの詩もまた、美しい。

社会復帰が不可能なくらい、
天上世界に陶酔している。それがよい。

詩人ってのは、生まれてから死ぬまで、
ずーっと精神的知覚過敏なのだな。
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自分も14歳頃からなにも変わらない。


内からわき出る詩を、
作品というカタチにして表現したい。

そんなときに手っ取り早いのは、
新緑の萌ゆる土手に立ち、ただ、叫ぶことだ。


「アハーン!!」と。


「アハーン!!」と。


「ウリャー!」とか、
「ギャー!」とか、
「ウガー!」とか、
そういう雄叫びとは、
ついぞ縁のない人生だった。


あくまで、
「アハーン!!」なのだ。
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なんか終わってる感じがするが、
しょうがない。

キモいなあ俺と思うし、
もうちょいサマになる感嘆詞はないかと、
探したこともあった。

「あーい!」とか、

「おお・・・」とか、

「嗚呼」とか、

なるべく女性的にヨガらない言葉を。


でもどう取り繕ったところで、

何を当てはめてみたところで、

やっぱりシックリくるのは、


「アハーン!!」なのだ。


とても残念である。
許してほしい。

でも、
自作の詩と一度でも真剣に向き合った男なら、
この感じにはげしく共感してくれるであろう。
そう確信している。

詩人・萩原朔太郎は名著「詩の原理」のなかで、
その欲求のことを、

「詩人の詠嘆(えいたん)」

と表現している。
そうそう!
さすが、わかってらっしゃる。


土手に立って「アハーン!!」と詠嘆したい。

by kan328328 | 2017-08-03 00:25 | アート | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


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