オラオラ or DIE

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この数ヶ月、かかさず筋トレをしている。


仕事で利用者さんを抱きかかえる機会が多く、
重度のギックリ持ちの自分としては、
将来的にカラダが壊れるのを防ぎたいのだ。


筋トレ、といっても、
ジムでフンフンやるわけではなく、
時間があるときに家でスクワットしたり、
腕立てふせをしたり、腹筋をしたり。

奥さんのまえでポーズをきめて、

「キンモ〜ッ」

と拒否されたり、まあそのくらいだ。


基礎体力をキープする程度の軽い運動なので、
見かけはいまだにモズのハヤニエみたいだけど。


そのおかげかどうかわからないが、
朝はわりといい感じに目がさめるようになったし、
気持ちはどこまでも晴れわたっている。


筋トレ効果、絶大である。

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物作りをする者にとって、
自身の健康体と向きあうことは、ひとつのテーマだ。


虚弱なカラダだと、心が病んでくる。

心が病んでくると、作品が病んでくる。

で、
作品は病んでくるんだけど、
それによって作品自体の説得力が増す、
ってことも起こったりする。


ときに、健康やら安定やらを犠牲にしてまで制作した作品が、
観た人の胸をえぐるような切迫さを持ちはじめること。


「作家自身の強度と、作品の強度は相反しやすい」


これはやっぱり、少しだけ認めざるをえない。

長渕剛の唄も、

三島由紀夫の小説も、

トレント・レズナーの音楽も、

ダウンタウン松本人志のお笑いも、

レオナルド・ディカプリオの演技も、

彼らが青白くホッソリしていた頃は、
危なっかしいほどの感性と鋭さにあふれていたけど、

肉体作りにはげみ出した途端、

持ち前のエキセントリックな色気や、
病的な過剰さは姿カタチもなくなり、
構築的なメソッドと社会性が前面に出るように。


自分としてはダンゼン、
やせて神経過敏だった頃の彼らの表現にグッとくるので、
それが、マッチョなご意見番みたいに変化するのを、
ちょっとだけさみしく感じたりもする。


でも、本人たちからしてみれば、
そういう不摂生な状態ではけっして、
長期的な活動なんてできやしないのだ。

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クリエイティブな力は負の方向にも暴走しやすいので、
いざネガティブな妄念に苛まれたとき、
虚弱なカラダと理性だけでは抑えきれない。

アルコールや薬物に走ったり、
ヘタすると自殺してしまうかもしれない。

そんな暴れ馬のような感性をつなぎ止めるためにも、
肉体というしっかりとした杭を打ち直さなくちゃいけないのだ。


作家に必要な要素について、
村上春樹は自伝の中でこう書いている。


「迷いをくぐり抜けたり、厳しい批判を浴びたり、親しい人に裏切られたり、思いもかけない失敗をしたり、あるときには自信を失ったり、あるときには自信を持ちすぎてしくじったり、とにかくありとあらゆる現実的な障害に遭遇しながらも、それでもなんとしても小説というものを書き続けようとする意志の堅固さです。
そしてその強固な意志を長期間にわたって持続させていこうとすれば、どうしても生き方そのもののクォリティーが問題になってきます。まず十全に生きること。そして「十全に生きる」というのは、すなわち魂を収める「枠組み」である肉体をある程度確立させ、それを一歩ずつ着実に前に進めていくことだ、というのが僕の基本的な考え方です。」

(村上春樹「職業としての小説家」スイッチ・パブリッシング)


ホントにそのとおりだと思う。


何かを作り「続け」たいのなら、
とにかく、健康体は維持するべきなのだ。

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さいごに。体を鍛える上で、
たったひとつだけ心配事があるとすれば、
もともと蒼白だった表現者がカラダを鍛えはじめて、
オラオライズムに走ったときの常として、

「往年の女性ファンがゴッソリといなくなる」という現象。


これはもう、しょうがない。

女心の移ろいはつなぎ止めようがないし、
そもそも誰も威圧的な表現者など求めちゃいないのだから。

女性ファンはいつだって、

「デビューしたての加瀬亮さん」

のような表現者像を求めている。

その加瀬さんですら、
自分にまとわりついたナイーブなイメージに嫌気がさし、
頭を丸めたり、筋トレにはげんだりして、
自らすすんで、求められている加瀬亮像を捨て去った。


そうやって表現者とファンは、新陳代謝をくりかえす。


キャシャで繊細な加瀬亮像を失ったファンたちもまた、
次なるイデアを探す旅に出て、その道中できっと、
坂口健太郎さんに出逢うのだろう。


だから俺も何の心配もせず、筋トレにはげもうと思うので、
だれかファンになってください。

by kan328328 | 2017-11-24 09:21 | 日常 | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


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