白菜とビール

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アトリエの前にある畑の地主さんに、
りっぱな白菜を丸々一個もらった。

この白菜値上がり時にである。

一昨年だったか、
俺は畑で野菜泥棒と遭遇したことがあり、
犯人を問いつめて追っぱらった事がある。

(というより逃げられた)

犯人はピコのトレーナーを着ており、
前歯が一本もなかった。

それを地主さんに報告して以来、
毎回会うたび野菜をくれるようになった。
こういった人とのつながりは嬉しい。

それともう一つある。

前にブログで書いた統合失調症の女の子。
そのお母さんはたまに僕の職場近くを通りかかり、
娘の様子を報告してくれる。

女の子はあれ以来ずっと入院しているらしく、
全力で暴れるため体を拘束されているそうだ。

ほんの気持ちですがと、
お母さんからビール券の束をもらった。

どうであれ、女の子はまだ生きている。
ガッツリと。

こういう報告をいただくと、
「自分もクサッてはいられない」
とつくづく思う。
指にトゲが刺さった程度のことで、
ブログにピーピー泣き言書いてる場合じゃない。
ホント。
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あの女の子の、
宙をまっすぐ射抜くような目、
自分を律しようともがき続けた暗い部屋、
バトン片手に全力疾走している陸上部の写真、

それらを思い出すたびに何か、
凄まじい底力のようなものが湧いてくる。

ええい、何クソ!やってやれ!!
という具合に。

俺は平日に介助仕事をこなし、
土日はそれを上回るほど制作して、
もうすぐ5歳になる息子をしっかり育てよう。

(今は奥さんに育児を任せてばかり)

脳性まひの方たちを抱きかかえ、
冬場のギックリ腰に悲鳴を上げて、
統合失調症の女性をベランダから引きずり降ろし、

こういう手垢と想念にまみれた生活実感がすべて、
俺の信じる芸術へとつながるのだ。


もっと生活のリアリティーを掴みたい。


社会的マイノリティーの現場に携わり、
そこにいる人達の思いや、空気や、感触や、
匂いまでをも表現したい。


芸術家である以上、そういう作品を作りたい。

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もらった白菜。そう、白菜。

白菜を使って、
奥さんが「ピエンロー鍋」を作った。

うちではこのピエンロー鍋をよく作る。
というかこれしか作らない。

この鍋、死ぬほどうまい。

白菜の持つやさしい旨みを、
塩とゴマ油の香味がじんわりと引き立てる。

こうやって文章を打っている時ですら、
ヨダレがダラダラと出てくる。
それをキーボードにたらしながら書いている。

作り方はいたって簡単だ。
Googleで「ピエンロー鍋」と検索すれば、
すぐに調理法がヒットする。


いただいた券を使ってビールを購入し、
ピエンロー鍋といっしょに呑み食いすれば、
さぞや天国だろうと考えた。

けれどこのビール券は、
女の子の病気が寛解して無事退院した時に、
ひとりで祝盃をあげる用に残しておきたいのと、

あとは何か、おふだというか、
お守りとして持っていたい気持ちがある。


なのでとりあえず取っておく。

by kan328328 | 2018-02-17 00:36 | 日常 | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


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