西武線ブルース

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こうして展示が終わり、
私もまた生活者へと戻っていく。

一介のヘルパーとして同じ家に出向くため、
同じ自販機で同じコーヒーを買って飲み、
同じ改札を通って同じ電車にのる。

「一秒たりとて同じ瞬間はない」

と言い聞かせつつ、同じ車窓から外を見る。
やっぱ変わらん、おんなじ景色。

東京の風景は灰青色でコントラストが弱く、
どこを見渡しても90年代のVシネマっぽい空気。

そこにドンキホーテやら、プロミスやら、
タイムズ駐車場やら、イエローハットやら、
遠目にもイエローな看板が節度なく混じりあい、
出たとこ勝負の黄色がハンパない。
大学デビューで金髪にした男子のような、
小アジア感ハンパないって。

西武線車内でながれる液晶モニターは、
無音のクセにテンション高し。

お天気予報のじぇいわくんは、
すでに出勤中の乗客に「傘を持って家を出てね」
とニアミス、
陰惨なバラバラ殺人をニュースが報じたあとで、
どこかのミス女子大がピョンピョン跳びはね、

「とーっても新鮮なんです!!」

と築地の海鮮丼をオススメ。
高いヒールでオー!!とジャンプし、
着地でヨロける仕草がオジさんには効果的と、
安易に見積もるミス女のあざとさ。

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到着駅で人ごみに押し流されながら、
いったい海鮮が新鮮なのか死体が新鮮なのか、
わけわからないままの我々乗客は、

ひじ鉄オジさんに背中をどつかれ、

階段2段飛びオジさんの接近におびえ、

女子高生の背負ったナギナタに頭を叩かれ、

旅行女子の引きずる巨大トランクに足をプレスされ、

サラリーマンに傘で突つかれ、子供はまたがれて、

学生のイヤホンは引っぱられ、OLはスマホを落とし、

オジさんはグラビアページをグリグリ丸めて隠し持ち、

若作りのギャル服オバさんは優先席に飛びかかり、

低身長アピール娘の上目遣いは必ず目ヤニ付いてて、

老婆は不気味なビニール袋を置き忘れてるし、

ひっくり返ったカナブン超パニクってるし、

ああ、今日もいつもと同じ光景。

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西武線、西武線。

無関心のカタマリ西武線よ、空を飛んで、

あの娘の胸に突き刺され。
by kan328328 | 2018-06-30 09:12 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


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