京都で泊まりがけの親子工作ができるという、
ワークショップを人に勧められ、何の気なしに、
奥さんと息子とともに参加した。
子供がたくさんいるかと思いきや5人しかおらず、
教育機関に携わる大人が多く参加していた。
子供には子供用のカリキュラムがあるらしく、
会場へ着くとすぐに、大人と子供は別々の部屋へ。
「息子は協調性ないけど大丈夫かなぁ」
と思ったら案の定、ボイコットしたらしい。
スタッフの方から聞いた話だと、
工作開始早々、息子は「つまらん」とさじを投げ、
その場にいた女の子を誘い部屋を出て行ったという。
6歳児といえど、やはり血か・・・
二日間つづいたワークショップは、
アイデアと工夫にあふれ、とても充実していた。
閉会時、ワークショップの主催者が、
「この国は子供の主体性を伸ばすような教育方針に、
ようやく舵を切った」というような話をした。
俺は話に耳を傾けながら、そうやって少しずつ、
教育者の側から生徒へ歩み寄ろうとする姿勢は、
とても大事だなあと感心する一方で、
教師たちから害虫のように忌み嫌われていた、
自分の学生時代の事を色々と思い出してしまい、
かるく泣きそうになった。
先生、何であんなに僕のこと嫌ってたんだろ?
小学校時代ならまだしも、中学校の教師に、
理解のある人なんて一人もいなかったな。
いまパッと思いつくかぎりでも、
グラウンドを走る女子生徒の尻を、
ポンポン叩くことだけが生きがいの教師、
エアーマックスの穴あけ行為が多発したとき、
真っ先に自分の嫌いな生徒を犯人扱いした教師、
(実際はちがう生徒が犯人だった)
「お前みたいな奴が酒鬼薔薇事件を起こすんだ」
と名指しで罵ってくる担任、そんなんばっかだった。
ごく控えめにいっても「教師のガラクタ市」
といった様相で、もし仮にああいう先生方に、
「生徒の主体性を大切に」などと要請した所で、
「はあ?子供に人格なんてあるわけないでしょう?」
と反対されるのがオチだと思う。
いつの時代、どこの国にも、
偏見とひいきとルーティンだけで動く教師は、
一定数いるんだろう。でもどうかそのガサツな手で、
子供の鋭敏な感性にだけは触らんでほしい。
その辺のアスファルトでも触っててくれ。
などと考えていたら、絶望的に暗くなってきて、
ワークショップ終了後、ヒマはできたけど、
神社仏閣などを巡る気は起こらず。
京都で見たいとこ…と頭をひねり、そういや、
ボアダムスの山塚アイ氏やゼニゲバの田畑満氏が、
若い頃に住んでいた安田荘ってのは京都だったな、
と思い出すも、個人的趣味すぎるのでそれも行かず。
とりあえずファミリーマートで缶ビールを買い、
鴨川べりにすわって飲んだ。そしたら、
夕風がとても気持ちよくて、すぐに酔った。
川の向こうまでたくさんの人が座っていて、
みんな、中州にいる一羽のサギをながめていた。
クチバシで器用に魚を捕まえグイと飲みこむと、
スイーッと飛び去っていく、
そのうしろ姿がめちゃくちゃロックだったな。
息子は納涼床の下でひたすら巻貝を採取していたが、
ネットで貝の種目を調べたところ、どうやら、
生息地を離れたら死んでしまうデリケート貝らしく、
しぶしぶ川に戻していた。
鴨川をながれる時間はゆるやかで、
ゆらゆらと川藻の揺れるさまも美しく、
ずーっと座って眺めていたかった。
息子は友達がいなくとも、たった一人で、
石を積み上げてバーベキューのマネごとをしたり、
川藻にビッシリ付着した微生物にのけぞったり、
水流に向けて一心不乱に石を投げまくったりと、
まあ、何もない自然の中で存分に戯れていたよ。
その姿を見て、
「子供の遊びにカリキュラムなどと、
大人がわざわざお膳立てしなくても良いんだな」
と思ったら、何だかとてもスッキリして、
思わず鴨川に立ち、
「自然こそ最高の教師なんじゃー!ウラーー!!」
と叫びたくなった。
美術作家・三宅感のブログです
by kan miyake
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