「ウチらの青春にエンドロールって…来るのかな?」
大学も今週いっぱいで夏休みに入る。
次に自分が出校するのは9月5日からで、
休暇中は、出勤していた曜日をそのまま、
自分の制作にあてる事ができる。
それが嬉しくもあり、どこか寂しくもあり。
今から4ヶ月前、前期授業が始まるときに俺は、
自由制作に励む3・4年、院生の一人一人と、
会話したいと思った。
非常勤講師は出校日数も少ない上、
専攻にも属さない俺は、積極的に動かないと、
学生さんとの接点を失う気がしたから。
なんとか全員の顔と名前をおぼえると、
あちこち歩き回って制作中の彼らに話しかけた。
「こんちは」「どうですか?」「順調ですね」
ただでさえ自意識過剰で人見知りの自分が、
生徒の手を止めさせてまで話しかけるというのは、
正直、とても違和感があった。
それは、まさに14年前、
制作中に話しかけられるのがすごい嫌で、
「近寄るな」オーラを出しまくっていた、
学生時代の自分を思い出すからであった。
きっと生徒の立場にしてみれば、
毎週同じ講師が回ってきて話しかけてくるのは、
かなりウザいだろうなーと思う。
作品について聞かれた所で「プラン読めよ!」
って感じだし。
だからこそ俺は、
脳の奥で使われる事なくホコリをかぶっていた、
「空気察知能力」を起動させ、それを頼りに、
生徒たちとの距離を縮めたり、ソッと離れたり、
及び腰になってウロウロと徘徊したりした。
そうして、どうにかこうにか、
コミュニケーションしてきたつもりだが、
どうだったろうか。
自分の事なんてまず客観視できないし、
実際の所、そんな気おくれも吹っ飛ぶくらい、
学生さんたちは皆、優しかった。ホントに。
校内にて自分がモヤモヤと、
ナイーブなアラフォーぶちかましてる時ですら、
気さくに話しかけて来てくれたり、中には、
「三宅さんをいじめる奴がいたら懲らしめますよ」
などと言ってくれる猛者もいて、俺は、
生徒の背後に隠れて泣いている自分の姿を想像し、
「できればそんなグロテスクな図式は避けたいな…」
と思いつつも、その優しさに心で泣いた。
自分が彫刻科3年生のころ、
池ヶ谷先生という非常勤講師の方がいた。
彫刻科の中で最もサブカル全般に造詣が深く、
自分もその先生にはすっかり心を開いていた。
いつも甘えんばかりに相談を持ちかけては、
ノイズ音楽やクラウトロック、ジョン・ケージや、
クリス・バーデンの自傷アートについて語った。
今思えば、ああいう、
領域横断的な先生に認知されていたからこそ、
自分のような彫刻の王道を歩けない落ちこぼれも、
才能に見切りをつけず制作してこれたんだと思う。
だから自分もまた池ヶ谷先生のように、
いつでも誰にでもニュートラル、
かつ面白い先生になれたらいいな、と思った。
後期からもどうぞよろしくお願いします。
美術作家・三宅感のブログです
by kan miyake
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