教えてティンカーベル

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学生が「三宅さんにオススメです」と言って、
NEWSのLive DVDを貸してくれた。

NEWSとは手越くんがいるジャニーズグループだ。
なぜ俺にオススメなのか、その真意を確かめるべく、
家に帰って夕飯のときに家族で観た。

再生早々、画面に映し出されたのは、
東京ドーム一杯のファン、ファン、ファン。
日本の女性全員集合かってくらいの密度に圧倒され、
俺は納豆をかき回す手が止まらなかった。

「これはもはや、国家だな・・・」

Liveの舞台となるのは「火、水、歌、音、愛」
などのエレメント群で構成されるネヴァーランド。
そこへ入るための鍵を密かに製造しているのが、
NEWSのメンバーたちだ。

彼らお手製の鍵を渡されたファンだけが、
夢の国への入場を許される、という設定。

細部まで計算されたダンスと歌による演出、
それを引き立てる舞台美術、照明、衣装…。
すべてがカンペキで隙がない。

やっぱコンセプトって大事なんだな。

と感心していると、パフォーマンスの途中で、
手越くんが他のメンバーの歌唱を邪魔するため、
腕をくすぐったり、キスするマネをしたりと、
何やらワチャワチャし出す。

そのたびに会場にわき起こる歓声。

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・・・なんだこの感覚は。

まるで、
息子の授業参観を見守る母親の気分だ。

この子たちってば、
さっきまで勇ましく旗を振ってたクセに、
急にじゃれ合ったりなんかして・・・

・・・何か、何かほっとけない!

俺はこの胸をくすぐられるような、
5月に吹き荒れる嵐のような、
妙にソワソワする懐かしさは何だっけか、
と考え、

萩尾望都の漫画「トーマの心臓」、
ヘッセの小説「車輪の下」「デミアン」、
森鴎外の自伝「ヰタ・セクスアリス」、
ルイマルの映画「さよなら子供たち」など、

いわゆる寄宿学校もの(ギムナジウムもの)
を描いた作品群を思い出し、ああいつの時代も、
美少年同士の交流は永遠のテーマだったな、

と、再確認したのであった。

それにしても、このDVDを勧められた以上、
「NEWSにあって、自分に無い物」
について、どうしても考えざるをえない。

若さ、ルックス、歌唱力、運動能力、カリスマ性、
資産、コミュニケーション能力、サービス精神、
ファンの数(というかファンという存在)…etc。

己との差異が止めどなくあふれ出て、
というか、日本人男性であるという以外、
自分とNEWSとの共通点が一切思い当たらない。

この事実と向き合うことを脳が拒否するのか、
急激に眠気を覚えた俺は、
とりあえず布団に入ろうと思った。

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「いつかスカウトされるかも…と不安で眠れない三宅感」


思い返してみれば、
俺がこのDVDを学生に借してもらったとき、
その場に居合わせた教授が、

「あなたになぜこれが必要なの?」

と困惑の表情を浮かべていたけれど、
正直、僕にもわかりません。

一体なぜ僕はこれを勧められたのでしょうか?

もしや「いつまでも童心を忘れるな」
というメッセージだったのでしょうか?

だとすれば、
このDVDを観る事で、僕は変われますか?

今からでも、キラめく存在になれますか?

夜道でスキップしても良いですか?

不思議なことに、こうした問いのすべてに、
「YES!」と答える自分がいます。

本当は日々の生活を回すだけで精一杯なのに、
更に首コリと、ギックリ腰と、喘息と、
紫外線アレルギーと、SASと、主婦湿疹と、
チックに苛まれているというのに、頭の中の俺は、
病身をギチギチ鳴らしながら夜空を飛び回り、

「次は何する?ねえ、ねえ、何するー!?」

と、やたらワクついているのです。
この場違いピーター野郎が生きているかぎり、
僕はまだまだ少年なのです。

ネヴァーランドの住人なのです。

by kan328328 | 2019-11-29 10:56 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


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