若者のすべて

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〈学生が描いてくれた俺の似顔絵。我が家の家宝が増えた。〉


夏休みが明けてひさしぶりに大学へ出校した。
昼に二年生たちと恋愛談義で盛り上がり、
それが終わると今度は三年生たちと恋愛談義。
あっという間に3時間が過ぎていた。

まさにキャンパスライフといった感じだけど、
そこはさすがの美大、会話の合間にちょくちょく、
バタイユやサリンジャーやトビー・フーパーや、
エドワード・ヤンの固有名詞が飛び交う。

そうやってたびたび哲学的方向へ脱線しつつも、
最後は「どうすれば理想の相手と出会えるか?」
に戻ってくる感じがいい。人生ってそうだよね。
恋バナフォーエバー。

この数ヶ月は自分の中から、
ブログを書く動機がスッポリと抜け落ちていた。
仕事上のストレスもない、家庭の不満もない。
体のあちこちが痛いけど、年末の展示準備をしつつ、
日々、等身大で過ごしている。

子供ら二人も元気である。奥さんいわく、
一歳半になる娘はカート・コバーンにぞっこんで、
YouTubeでニルヴァーナのライブ映像を流すたび、
「カクイ〜カクイ〜(格好いい)」とご満悦だそうだ。
で俺が近づくと「クサイ〜(臭い)」というのも、
最近おぼえた言葉らしい。雑に識別しすぎだろ。

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小2の息子は極真空手に精を出しており、
こないだの大会では準優勝を勝ち取ってきた。
毎日学校のヤンチャグループを4〜5人連れてきては、
TVもゲームもない我が家で暴れまわって空手ごっこ、
それに飽きると外に飛び出し、戦争ごっことスケボー。

この閑静な住宅街で、うちの周囲だけ「昭和か?」
ってくらい、悪ガキの歓声が飛び交っている。何だか、
自分みたいな腺病質からああいう腕白が生まれてくる、
って所に、俺は遺伝子の無限のバリエーションを見る。

すぐにケンカを始め、くやし涙を流したかと思えば、
いつのまにかケラケラ笑って仲直り。
そんな子供らの喧騒をベランダから眺めつつ、俺は、
「君たちひるまずそのまま行けよ。歳をとっても、
他人の噂話や愚痴だけが楽しみの中年にはなるなよ」
と切に願う。福祉の現場はそんなのばかりなので、
なおのこと思う。

こうして、大学で、家庭で、
若者からもらうエネルギーの恩恵は計り知れない。
悩みも遊びも嘘がなく、全身からリアルがあふれ出る感じ。
こないだ出演させて頂いたNHK・Eテレ「シャキーン!」
のはるかちゃんも全てが全力投球で、俺にはまぶしく、
こういう感性は忘れまいと肝に銘じたのだった。

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〈はるかちゃんにプレゼントした三宅感特製・はるか像〉


とにかく自分も、
今置かれている場所で全力を出し切ろうと思う。
何が起きても人のせいにはすまい。言い訳もすまい。
そして与えられている以上の物をやたら望むまい。

今後もアートを続けていきたいという気持ち、
人前で何かを表現したいという欲はある。それでも、
こと「幸せ」の一点に限っていうなら、
この生活上に更に付け足したい要素はない。

あくせく走り回ってようやく入手したものの、
今度はそれを失いやしないかと脅えたり、
手に入れた途端に色あせて見えてしまうような、
あの「学習しない悪循環」に戻りたいとは思わない。
人生はとても短いのだ。

by kan328328 | 2021-09-17 11:37 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


by kan miyake
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