兀兀として生きる
2022年 06月 03日
半年ぶりのブログ更新。
4月から5月にかけてはほぼ休みなく、
大学の授業と介護現場の往復であった。
多忙な日々に心身のバランスを崩さぬよう、
カフェインと酒を極力控えていたこともあり、
今では水すら甘く感じるほど味覚・嗅覚が発達。
首のこり、ぎっくり腰、主婦湿疹、
喘息の発作をのぞいては、心身ともに良好です。
それでも見た目のぜい弱さゆえか、大学へ行くと、
学生さんたちがたびたび食べ物を恵んでくれる。
クリームパン、おにぎり、ゆで卵、お菓子。
今の20代はホント優しい・・・
若い善意がやたら沁み入る年齢になりました。
こうして刻々老いていく父を尻目に、
子供たち二人はすくすくと育っていく。
娘は生後2年目にしてようやく保育園に入園し、
息子は極真空手とマイクラに精を出しつつ、
どこかの物置きへよじ登って友達と宿題をこなす。
生活はだから、これでいい。
では、俺の制作はどうか?
新作を作っているか?
正直、休日は精根尽き果てて、
ベッドに寝ころび惰眠をむさぼっている。
この一ヶ月、いくら寝ても疲れが取れない。
たぶん、働きすぎなのだ。
ダメだ、こんなんじゃ。
毎日ネタ帳を書いてるけど、制作しなきゃ意味がない。
頭の中でシミュレーションするだけでは臆病になり、
「こういう展示がしたい、こういう作品を作りたい」
という初期衝動まで殺しかねない。
うちの近所に「Walla(ワラ)」という、
若手の美術作家さん達が数名で運営している
アーティスト・ラン・スペースがある。
そこで今、俺が借りているスタジオの創設者である、
アーティスト・久保田弘成さんの展示が開催中だ。
同時企画として、国分寺のカフェ「roof」の2Fでも、
久保田さんの巨大作品ポスター展が開催されている。
久保田さんはこの5年間、
日々の労働の合間に日本全国を駆け巡り、
生命力を感じさせる石「根石」を採取し続けてきた。
その数は1000にも上るというが、今回の展示では、
その中から選りすぐりの根石だけを展示している。
白い展示空間にズラリと並ぶ根石群は圧巻。
石に魅せられると人は険しい山奥まで分け入っていく、
その事実一つだけでも、人類全般に対する、
何だかわからない希望がわいてくる。
自分的にはとても住みやすい環境ではあるものの、
およそ文化的とは言いがたいこの平凡な住宅街に、
現代アートの微熱を持ち込んでくれたWallaに感謝。
これから週末の散歩が楽しみになりそうだ。
物がゴツンとそこに在る、その強度のようなものに、
年々惹かれていく自分がいる。
モノ派の作品とか学生の頃はピンと来なかったけど、
今はしみじみ「いいなあ」と思うようになった。
場所ありきで作品を構想していくような、
サイトスペシフィックアートも、
瞬時に空間把握を強いられる即興パフォーマンスも、
他者にヒリヒリと対峙するリレーショナルアートも、
昔の自分はちっとも良さがわからなかったけど、
今はどれも楽しくてたまらない。
感性が日々変化しているんだなあと思う。
前に書いたブログの記事を読み返しても、
今ではまったく共感できないようなことを、
さもドヤ顔で書いているあたりがおかしい。
これから自分がどう変化していくか期待している。
by kan328328
| 2022-06-03 22:20
| アート