実家に三日四日ほど帰る

短編のロケハンをするために、群馬の実家に帰ってきました。

実家に帰ってくると、変に気分が高揚します。
群馬の夜は何故か青いのです。それも、深海のような深い青。
そこが住宅地だろうが、田んぼだろうが、畑だろうが、どこからか青い光が差しているのです。そのせいで、夜中二時を回ってもまだ妙に青っぽい。夜は音もしない。ムチッと密度の高い静寂に、時たま混ざる虫の鳴き声。
で、帰ってきたのは昨日の深夜なのですが、何でそんなに遅くなったかというと、理由があります。

帰るのは、たまった服を洗濯してからにしようと思い、夕方僕はコインランドリーに向かいました。
向かう途中で「こんにちは。」と、見知らぬおばさんが声を掛けてきて、「ビワ、食べない?」と誘ってきました。
よくよくみるとそのおばさんの家の庭には、大きなビワと梅の木が立っています。
僕もビワは大好物なので「ぜひ頂きます。」と、オレンジ色に熟したビワを一粒もらいました。
食べてみると、そのビワの甘いこと!!!!調子に乗って何粒も何粒もむさぼってたら、おばさんも気をよくして、高さ60cm程のビワの苗木をプレゼントしてくれました。
そして更に「梅の実も、自分の分は自分で取ってくれるなら、好きなだけあげる。」と言ってきました。なので本気になって、おばさんに借りた高枝切りばさみで、ちょんちょん梅の実を切りまくり、4kg!分の梅の実をもらって来ました。
「お腹が空いたらいつでもおいで。」おばさんは終始にこやかでした。

洗濯も帰省支度もほどほどに、早速梅酒作りを始めました。
大量の梅の実を一粒一粒水で洗い、あく抜きのためビニール袋に溜めた冷水に、実を六時間以上浸す。
5リットルのガラス瓶二つ、氷砂糖1kg、ベースになる酒3,6kgを購入。
そこで僕は実家に帰る電車の終電が迫ってきてしまい、残りの主要過程は全て、仲良しの子に任せて帰ってきました。何という放蕩ぶり。申し訳ない。でも
「感くんは実家に帰って、しっかりロケハンをして。残りの梅酒造りは任せて!」なんて言ってくれた人は初めてです。自分の性格に全く見合わないくらい、友人は皆、素敵です。
お酒はホワイトリカーベースとブランデーベースの二種類で作ります。

楽しみだ。最低一年は寝かさないとだな。

それにしても、俺は昔からおばさんや老人、幽霊と猫には、やたらよくしてもらえる。

俺が歩くと、痴呆症の老人がどこからともなく現れるのは何でだ?
今まで何度となく、彼らを警察に届けた。
中学の時には、高崎市の平成10年度善行青少年賞の代表として、壇上で表彰された。
道を歩くといるのだ。明らかに挙動がおかしい老人が。
通行人の無視具合にも驚くけど。

橋本にもわらわらいたぞ。本当に、たくさん。
毎日毎日、夕方になると必ず、迷子の老人を探す放送が聞こえてくる。
外に出たい気持ちはわかるけども。
自転車で大学に向かう途中、ばあさんが、生け垣から伸びてる葉っぱをひたすらむしっていた。いつもの嫌な予感がしつつも、「ばあちゃんどうしたの?」と話しかける。すると、息子の家に向かう途中なのだという。よく見ると、微かに、ほんの僅かずつだが、ばあさんは横に移動している。
葉をむしる手を止めないので、「人んちの垣根にいたずらしちゃだめだよ。」と手を掴むと、ばあさんは急に後ろに反り返りそうになった。どうやら葉をむしっていたのではなく、枝に捕まりながらここまで移動してきたようだ。足が弱いのか、震えている。俺も、ばあさんの手を持ってしまったのが間違いで、警察がくるまで、ずっと枝がわりにされる羽目になった。
ばあさんに、家はどこなのかと聞いてもちんぷんかんぷんで、「息子の家に行く」以外は、全く会話にならなかった。
そんで、警察ってのは来るのが遅い。交番でたまに道案内するか、人の自転車をチラ見する程度の仕事なのに、毎回毎回、何であんなに来るのが遅いんだろう?
やってきたパトカーに乗っけた後、よし、学校に行こうと思って自転車こいでトンネルを抜けると、その時はさすがに驚いたけど、今度はじいさんがいた。しかも立ったり座ったりを延々繰り返している。もう嫌だと思い、そのまま通り過ぎた。


霊もまた然りだ。

友達の悠ちゃんがくれた拾い物の木箱は、俺んちに置いた途端、「ぎーぎー!」と鳴き出した。
一晩中。なので、もとあったゴミ捨て場に二人で戻してきた。

大学二年の頃、俺の部屋に真夜中、見知らぬお坊さんが侵入してきて、耳に注射を打たれた。大声で謝りまくったが、「安心して、僕はお坊さんだから。」と言って聞かないので、されるがままに注射を打たせた。痛かった。坊さんはドアから出て行き、電気をつけて鏡を覗くと、注射を打たれた部分に、赤い小さな穴が開いていた。でもドアは内側から鍵がかかったままだった。
あまりの恐怖に、涙ながらに関口君に電話した。

中学生の頃は、自分の部屋から遠くの山が見えた。
夜になると、山に点々と明かりがともる。豆粒くらいの民家の明かりだ。
ある晩、望遠鏡で山の明かりを見つめていると、一軒の家の窓に、人のシルエットが映っていた。じっと立ったまま、動かない。
俺は部屋の電気を消して、もう一度望遠鏡を覗いた。すると、すぐにその窓の明かりも消えた。偶然かと思ったが、もう一度自分の部屋の電気をつけると、向こうの部屋の明かりもついた。
何ともいえない、奇妙な気分になった。
俺は思い切って手を振ってみた。そしたらそのシルエットも大きく手を振り返してきた。

小学校の頃、町内会のレクリエーションの一環として、学校の畑を耕した。
俺も端っこの方で一人で土を耕していたら、ガチッ!と、クワが何か固い物に当たった。掘り起こしてみると・・・・千手観音像だった・・・・・。
怖いので未だに実家の棚に飾ってある。

昼間、部屋の天井裏から、女の人の声で「ワン!」と吠えられた。唐突に。



なるべくなら、霊は墓地に、老人は無理せず家に。と思うんだけどな。


下の画像はバイト先で作ったコラージュ。
d0108041_2522249.jpg

by kan328328 | 2007-06-12 22:26 | 日常 | Comments(0)

美術作家・三宅感のブログです


by kan miyake
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