映画かあ

森の奥に撮影の条件にぴったりの場所を見つけた。一緒に車で回ってくれた友達が、偶然見つけたのだ。
その場所の所有者を見つけるため、市役所で登記を調べ、青梅の山の中を名刺を持って歩き周った。
地元の親切な方々の協力があって無事、地主の方からその場所の使用許可を頂いた。この感動は何物にもかえがたい。見つけたんだ!やっと!うわーーー!!!
公共施設を住所録を見ながら探すのと違って、「針葉樹の立ち並ぶ森の中に、直径10m位に丸くぽっかり開いた空間」という漠然としたイメージは、どこの森林組合の方も口を揃えて言うには「ありえない」場所だったらしい。
台風が偶然木々を丸く引っこ抜いてくれるのを待つか、大金はたいて自分の山を買うか。航空写真片手に森をうろつきながら、そんな事ばかり考えていた。この四ヶ月間、ずっと不安で胃が痛かった。
それっぽい場所があっても既に植林が施してあったり(当たり前)、地面が傾斜だったり(これも当たり前)。ツチノコを探しているのに近い気がした。存在するのかどうかもわからない。

許可を頂いたその夜、一人、缶ビールで祝杯をあげた。

しかし安心してはいられない。次は材木所のロケ地を探さなくては!

人に仕事を頼むというのは、とても難しい。
特に映画で手伝ってもらう事なんて、どれも地道な作業ばかり。
撮影に入ればまだしも、準備段階においては特に。ロケ場所探しと交渉、キャスト探し、野外ロケであればトイレや宿泊施設、電源の確保、参加する人全員のスケジュール組み、美術セットの製作、台本の読み合わせ、云々……
そして当然の事ながら、手伝ってくれるみんな、撮影所に属している人とかではないので、ちゃんと自分のスケジュールというのがあるのだ。
その忙しい合間をぬって、無償で協力してもらうのだ。
本当は心の中で「俺のやる事にまだ付き合ってくれてありがとう、毎回無理言って本当ごめんなさい」と言いたい人というのが何人もいる。でも、撮影が終わるまでは……と勝手に押し黙ってる。


ユルグ・ブットゲライト監督の「死の王」観た。
久しぶりに心に残った映画だった。
前から散々レンタルショップで手にはしたものの、宣伝文句の「超危険!グロテスク変態映画!本国では上映禁止処分!」といった脅しにビビって観れなかった。
でも全然だった。ホラーでもスプラッタでもない。
優しい映画。やりきれない感情に苛まれてしまった人たち。
こっちが意図してない感情を急に掘り起こされ、モジモジと戸惑い、ばつが悪かった。
良い映画だよ。好きだ。疲れるから当分観たくないけど。

この映画を観て、何故かミヒャエル・ハネケの「セブンス・コンチネント」を思い出した。
「セブンス・コンチネント」は観る機会があれば、みんなぜひ観るべきだと思う。
こうゆう映画を観て、もやのかかった状態で鬱々とするのも良いと思う。
うなずけない。酔えない。踊れない。
コンクリートに詰められて、小雨に打たれてるような気分。
よくこんな曖昧な感情をクランクインまで持続出来るなあ、と思う。

下の画像は、はるか遠くまで連れて行ってくれそうな映画たち。

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by kan328328 | 2007-10-10 07:02 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


by kan miyake
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