紫色の友禅菊

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久々にブログを書く。こんなもの更新しようがしまいが、誰も読んじゃいない。
ここ最近の自分を、整理するためのメモ代わりに。

映画の撮影が無事、終了した。
あまりにも多くの人に手伝ってもらい、たくさん迷惑をかけた。

十日程の撮影期間でしたが、最後まで撮影に携わってくれた友達、スタッフ、俳優陣の皆さんに、心から感謝致します。本当にありがとうございました。

人と一緒に何かを作るという大変さを、痛感した。
手伝いに来てくれた人の中には、初めて会う人もたくさんいた。
皆、俺とは全く面識もない人なのに、無償で、黙々と手伝ってくれた。
きっと普通の人とは違って、深い魂がある人なんだなと思った。
真剣で一途な人がいた。おおらかで頼りになる人がいた。話すと意外にシュールな人がいた。冷えてると思いきやとことん熱い人がいた。見るからに素敵な人がいた。
一人一人、ゆっくり話してみたかったけど、時間的にも精神的にもその余裕は無かった。
撮影が終わり、皆バラバラに散った。
これで全て終了と言いたいけれど、アフレコなので、一から改めてセリフを録音しなければならない。編集作業も残っている。


貯金が底をついた。
歩くたび、頭の中でカランカランと小石の転がる音だ。


今回、撮影機材を貸して頂いた会社でアルバイトさせてもらう事になった。
宿直の方のバイトも兼ねて、週七で働いている。
撮影が終わり、とにかく一人になりたい衝動に駆られて、いっそどこかの家の味噌汁の具にでもなってしまいたくって、バイトの合間をぬっては、最近また読書をしている。
読書はいつも、無言でいる自分を正当化してくれる。

種田山頭火の句集を読んでいる。
山頭火の隠しきれない、隠すつもりも毛頭ないであろう寂寞感が、文字にほろほろと滲んでいて、泣きたくなる。普段俳句なんて読んでも、全然入ってなんか来ないのに。
ああ、それがこんなに沁みてくるのは、自分が今とても傷ついているからだな、と思った。
「寂寞感」という感覚には馴染みがある。
好んで自らそういう気分に浸ろうともしていた。
廃村、集落、うらぶれた神社の境内、深夜のインターチェンジ、鍾乳洞内の地底湖、山奥の林道、古道、誰もいない観光地のお土産屋、キャラクターシールの剥がれ跡。三角コーナー。
うら寂しくて、やるせなくて、目を背けたくて、嫌だ嫌だ、でも、つい惹かれてしまう。
また旅行に行きたいと思う。   

映画に出演した役者さんから、内田百間の本を勧められて以来、ずっと抜けられないでいる。
百間の随筆集は文句無しなんだ。気付くと手に取って読んでいる。
自分の実の父親なのでは、と思う。よっぽどだ。きっと同じ星のもとに生まれた人なんだ。
「幽玄」、「畏怖」、「寂寞」、「気配」、「余韻」、「不穏」、「浮世離れ」、どれも百間という人物に当てはまる言葉だと思う。
中には愛らしくとぼけた文章もあるし、というより、大半は愛嬌のある文章を書く人だけど。
夜になれば俺はまた、しめしめとページを開く。

夜が好きだ。気付くと後ろに座っているし、黙っていて、なんだか艶っぽい。
昔の女の様で、怖くて好きだ。
大きなアンコの固まりに、ピアノ線ですっと、切れ込みを入れたい。

主張したい事なんかない。まわりに静かにしていて欲しい。
前住んでたアパートの近くに、花屋が出来た。
そこで紫色の友禅菊を買った。
花びらがぽろぽろと取れる。
by kan328328 | 2008-08-25 08:58 | 日常

美術作家・三宅感のブログです


by kan miyake
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